スーツへのアイロンのかけ方とは?注意点やポイントを解説

公開日:2024年7月24日 / 更新日:2024年10月3日

毎日折り目がピシッと決まったスーツを着ると、一日仕事を頑張ろうと気が引き締まります。
とはいえ、毎日クリーニングに出すのは、費用やスーツの傷みを考えるとなかなか難しい問題です。しかし、結論から言うと、スチームアイロンがあれば自宅でもスーツのしわは伸ばせます。

この記事ではスーツにアイロンをかけてしわを取る方法を、ジャケットとスラックスに分けて詳しく解説しています。アイロンがけにはしわを伸ばせる以外にも、消臭や殺菌など多くのメリットが得られるでしょう。

自宅でメンテナンスできれば、頻繁にクリーニングに出す必要がなくなり、その分ダメージを軽減できるため長く着られて経済的です。この機会に、自宅でのスーツのメンテナンスをはじめてみましょう。

スーツにアイロンをかける際の注意点

スーツのプレスはクリーニング店でおこなうものと思いがちですが、いくつかの注意点をおさえておけばスチームアイロンを使えば自宅でもスーツをきれいに整えられます。スチーム付きのアイロンがない場合は霧吹きで水をふきかければスチームの代わりにもなります。
よりきれいに仕上げるためにはアイロン台は必須でしょう。あてた蒸気の熱がこもらず、短い時間で生地を冷やせるのできれいに仕上がります。

最近はスーツをハンガーにかけたまま、手軽にしわを伸ばせるハンディタイプの衣類スチーマーもありますが、あくまで簡易的なしわ取りが目的です。きれいに仕上げるためにはアイロン台の使用がおすすめです。このような基本を踏まえた上で、スーツにアイロンをする際の注意点を見ていきましょう。

注意点①あて布を使う

「あて布」はアイロンとスーツの間に一枚布を挟み、底面がスーツに直接触れて傷まないようにするものです。スーツのようなデリケートな素材は、洗濯表示に記載がなくても基本的にあて布をあててアイロンをかけるようにしましょう。

あて布をしないでアイロンをかけると、底面の熱で生地が溶けたり伸びたりするため、テカリが出てしまう可能性があります。スーツのケアをするつもりが逆に生地を傷めてしまうため、あて布は必ずあてましょう。

あて布の素材は熱に強い綿が良いとされています。ハンカチや手ぬぐいでも代用できますが、できるだけ白い無地の布が望ましいでしょう。色柄物はアイロンの熱で色がスーツに移ってしまう可能性があるからです。どうしても白いあて布がない場合は、不要な布で色移りがないか確認が必要です。スーツの大きな面だけでなく、生地が重なっている部分や装飾品など細かい部位はテカリが出やすいため、あて布をあててしっかりケアしましょう。

注意点②スーツの素材ごとの適切な温度設定を行う

間違った温度でスーツにアイロンをかけると、生地が傷む原因になります。また、推奨される温度より高温のアイロンで折り目を付けると、間違ってしまったときに、もとの状態に戻すのが難しくなってしまいます。そのため、必ず洗濯タグで適切な温度を確認したうえでアイロンがけをおこなうようにしましょう。

アイロンマークの中の「・」の数はアイロンの底面温度を示しています。旧表示では「高」「中」「低」で表示されていました。それぞれのマークが示す温度と、推奨される素材は以下の通りです。

新洗濯表示旧洗濯表示底面温度素材
・・・上限200℃まで綿/麻
・・上限150℃までウール/カシミヤ/ポリエステル/キュプラ
上限110℃ナイロン/アクリル/モヘア

ご覧のようにスーツの素材によってそれぞれ耐熱温度が違います。とくにスーツは部位によって素材が変わります。一番見た目にも分かりやすい部位でいうとスーツの表地と裏地です。一枚のスーツでも、部位の素材によって設定温度を変えながらアイロンをかけましょう。

スーツにアイロンがけすることの利点

アイロンはスーツのしわを伸ばすためだけにかけると思われがちですが、それ以外にも得られるメリットがあります。ここではスーツにアイロンをかけるメリットを3つお伝えしていきます。

メリット①クリーニングに出さなくて済む

スーツは着ている限りどうしても、しわがついてしまいます。汚れやにおいが気にならなくても、しわがついたらクリーニングのタイミングと考えている方は多いでしょう。
しかし、しわを伸ばすだけなら毎回クリーニングに出す必要はありません。スチームアイロンとアイロン台、あて布があれば自宅でもしわを伸ばせます。

スーツを頻繁にクリーニングに出すと、なにより費用面での負担が大きくなります。自宅でスーツのしわを伸ばせれば、クリーニングに出す頻度を減らせるので経済的です。アイロンがけに慣れてしまえば、クリーニング店にスーツを出し、取りに行くという手間がなくなるため、プライベートな時間も確保できるようになるでしょう。

メリット②長持ちする

自宅でアイロンをかけることは、スーツのメンテナンスという意味で良い影響が多いです。例えば、着用し続けると生地のテカリが気になります。生地のテカリは、生地の繊維がつぶれ光を反射する面が増えている状態です。

スチームアイロンをあてると、繊維に水分を含ませることができるため、繊維の形状が復元しテカリを軽減できます。また、穴あきの原因となる虫も熱の力で死滅します。こうしたメンテナンスを自宅で継続的におこなえば、スーツを長持ちさせられるでしょう。

しわを伸ばすために頻繁にクリーニングに出していると、色落ちや型崩れの原因になります。
クリーニング頻度を減らすことも、スーツへのダメージ軽減につながり、より長く着られるというわけです。

メリット③消臭効果がある

アイロンのスチームには消臭効果もあります。スチームの力でにおいの粒子を繊維から追い出せるからです。とくに汗をかいた日や、においが気になるときは、スチームアイロンを使って自宅でケアしてみましょう。スチームの温度は100℃ほどなので、スーツに付いた雑菌はおおむね死滅するでしょう。

ちなみに、スチームアイロンがない場合は入浴後、浴室にスーツを2~3時間かけておき、その後しっかり乾かせば同様の効果が得られます。一日中スーツを着ていると、どうしても汗で湿気がこもります。

また、飲み会などに参加すればたばこや油のにおいも付くでしょう。しかしそのまま放置すると雑菌が繁殖し、においを発するようになってしまいます。自宅でメンテナンスできれば、クリーニングに出さずともスーツを清潔に保つことができるでしょう。

 

以下の記事では、日頃のスーツケアのポイントや、長期保管する際のポイントなどについて、詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事>>スーツの適切な保管方法は?長く着るためのポイントを解説

ジャケット・スラックスのアイロンがけのポイント

スチームアイロン、アイロン台、あて布が準備できたらスーツにアイロンをかけていきます。どの部分からかけても構いませんが、部分ごとに素材が違うものもあるため設定温度に気を付けてアイロンをかけていきましょう。
また、いきなりプレスせず底面を浮かせて蒸気をしっかりあててからプレスしていくとしわがきれいに伸びます。まずは、ジャケットのアイロンがけのポイントから見ていきましょう。

ポイント①ジャケット

ジャケットは首回り、腕回り、前部、後部の4つに分けられます。生地のつなぎ目が多いため、ジャケットの形を意識しながらアイロンがけをしましょう。

 

肩・袖ぐり・襟

まずはジャケットの首回りの部分です。形をつぶさないように注意を払いましょう。アイロン台にスーツをかぶせ、台の角を使いながら肩から袖ぐりに向かってかけます。アイロンでしっかりプレスするというより、手でしわを伸しながらスーツの形が崩れないよう優しくアイロンをかけます。

首の後ろに来る襟(カラー)は立てて裏側からアイロンをあてたあと、折り返して形を整えましょう。汗や皮脂が付きやすい場所なのでスチームをしっかりあてると消臭効果が期待できます。どの部分も縫い目が多く立体的な形状のため、強くプレスしすぎないのがきれいに仕上げるポイントです。

 

腕周りは動きが大きい部分です。とくにひじの内側は汗を吸収しやすくしわにもなりやすいため、スチームをあてしっかりしわを取りましょう。しかし、しっかりプレスすると、折り目が強調され立体的な形状が崩れてしまいます。腕を通す部分にタオルを入れ、形を整えてからスチームをあてると、袖を通した形状のまましわ取りができるためきれいに仕上がります。

 

前部

いわゆる前身ごろです。スーツをアイロン台の上に引っ掛けるようにしてセットします。
ボタンやポケットなど装飾品が多くテカリが気になる部分でもあります。テカリをおさえるポイントは、しっかりスチームをあて、繊維を立ち上がらせることです。手でしわを伸ばしながら、優しくプレスしましょう。

襟(ラペル)はいったん平らな状態にして、スーツの表側から軽くアイロンをあてます。しわが伸びたら襟を折り目に沿って戻し、軽くプレスしましょう。上から下までしっかり折り目を付けるより、襟の上部3分の1程度までにとどめた方が自然な仕上がりになります。

 

背中側

スーツの背中部分は袖をたらすようにアイロン台にかぶせてセットします。ジャケットの裾を引っ張りながら、中心から外側に向かってプレスします。背中はほかの部分とは異なり、しっかりプレスしても大丈夫です。椅子に座ると背中と背もたれに挟まれ、しわが強くつきやすいため、ほかの部分と重ならないように注意してしっかりしわを伸ばしましょう。

ポイント②スラックス

ジャケットとは違い、スラックスは基本的に一日中履きっぱなしです。また、椅子に座るときに圧力がかかるため、しわが入りやすく見た目にも気になります。ジャケット同様、自宅でのアイロンがけでしっかりケアしていきましょう。スラックスは片足ずつアイロンをかけていきます、腰回りから下へ向かって膝、裾の順にかけ、最後にしっかりセンターでプレスします。それぞれポイントを解説していきます。

 

腰回り

腰回りのしわは、スラックスをアイロン台の先端に履かせるようにかぶせると伸ばしやすいです。チャックの部分にスチームや底面が触れると高温になり、やけどをしてしまう恐れがあるので気を付けてください。

腰回りは、前側と後ろ側を重ねてアイロンがけすると、間違った折り目やポケットの形が強調されてしまうため強くプレスしないように注意しましょう。腰回りの部分は手で触れる機会も多いです。排泄の際に汚れることもあるため、股間やヒップなどしっかりスチームをあてて消臭、殺菌もおこないましょう。

 

つぎは太ももから膝にかけてアイロンがけをしていきます。まず、センタープレスの跡にあわせて形を整えます。センタープレスがわからない場合は、縫い目を上下に重ねましょう。

膝の裏側の方から生地を手で伸ばしながらしわを伸ばしていきます。アイロンを直線的な動きで滑らせるのでなく、円を描くようにくるくる滑らせましょう。膝部分はしわを伸ばすだけなので、強い力でかける必要はありません。

 

ひざ下から裾までは太ももから膝と同様、センタープレスや縫い目であわせて円を描くようにアイロンをかけていきます。裾部分は、縫い目をきれいに重ねるときれいに仕上がります。折り返しがある場合は、左右で長さが同じになるように調整しましょう。

 

センタープレスの方法

最後にしっかり折り目を付けましょう。太ももから裾のしわ取りのついでに折り目をつけてしまうと、センターラインがズレが出てしまう恐れがあるため、プレスは必ず単体で最後におこないましょう。生地全体のしわがしっかり伸びた状態の方がきれいに仕上がります。

センタープレスの跡が残っていればその跡に沿って裾の方からアイロンでプレスしていきます。見えづらい場合やラインが残っていない場合は、縫い目を上下にきっちり重ねてプレスしましょう。アイロンを滑らせると生地が寄ってしわが入ってしまいます。したがって、上からスタンプを押すようにプレスするときれいな仕上がりになります。

 

以下の記事では、スーツを正しく持ち運ぶ5つの方法を中心に、スーツにシワをつけない畳み方のポイントやシワ汚れを防ぐための注意点を紹介しています。あわせてご覧ください。
関連記事>>スーツの正しい持ち運び方5つと畳み方のポイント

スーツに適したアイロン

ここまでお伝えしてきたようにスーツに適しているのは、スチーム機能がついたアイロンです。アイロンの種類は「ドライアイロン」「スチームアイロン」「衣類スチーマー」と大きく3つに分けられます。このうちスチーム機能がついているのは「スチームアイロン」と「衣類スチーマー」です。

まず、スチームアイロンは通常のアイロン機能にプラスして、スチーム機能がついているアイロンのことを指します。後述する衣類スチーマーと比べるとタンクの容量が大きいのが特徴です。
アイロンとスチーマー、両方の機能をバランスよく備えているため、スチームでしわ取りや殺菌をしつつ、アイロンでスラックスのプレスも可能です。
自分でスーツのメンテナンスをおこない、クリーニング頻度を下げたい人はスチームアイロンを選ぶとよいでしょう。

一方、衣類スチーマーはスチームに特化しています。30秒ほどで高温のスチームが噴射される商品が多いです。スーツのしわ取りや消臭だけであれば、衣類スチーマーでも十分な効果が期待できるでしょう。
スチームアイロンと比べると小型で軽いため、ハンガーにかけたままでも楽にスチームをあてられます。中には小さいながらプレス面がついているものもあり、部分的にプレスしてしわを伸ばすことも可能です。スチームアイロンに比べてコードレスのものが多く、自宅で簡単にケアしたい方は衣類スチーマーがおすすめです。

スチームアイロンと衣類スチーマーのどちらを選べばいいのかは、自分のライフスタイルや自宅でのスーツのメンテナンスの目的にあわせて考えるとよいでしょう。

スーツのアイロンがけでテカリが出たら?

もしアイロンがけ中にテカリが出てしまったのであれば、ブレスの力が強すぎて繊維がつぶれてしまっている可能性があります。アイロン中にテカリに気が付いたら、繊維がつぶれたまま定着しないようにすぐ対処しましょう。その場でできる一番良い方法は、再度スチームをたっぷりあてて繊維を膨らませることです。強い力が加わりつぶれてしまった繊維も水を含ませると立ち上がります。

また、スーツ用のブラシを使いブラッシングで繊維をたたせる方法もおすすめです。繊維に逆らうようにブラシをあてブラッシングします。小さなごみやほこりも同時に落ちるため、テカリをおさえつつスーツを清潔に保てます。

応急処置としてテカリを修復するスプレーを活用するのもよいでしょう。つぶれた繊維をもとに戻すものではありませんが、反射する光を分散してくれるためテカリが軽減されます。スーツ店だけでなく、ドラックストアでも手に入るので、いざというときのためにストックしておくとよいでしょう。

スーツはデリケートな素材で作られているものが多く、アイロンを強く押しあてすぎると簡単に繊維がつぶれテカリが出てしまいます。アイロンの底面を使いしっかりしわを伸ばしたいときは、必ずあて布を使いましょう。

【結論】スチームアイロンがあれば自宅でスーツのしわ取りは可能!

今回は、アイロンをかけるポイントをスーツの部位ごとに詳しく解説しました。スーツはクリーニングに出さなくても自宅でのメンテナンスが可能です。自宅でのアイロンがけは基本的に「スチームアイロン」「アイロン台」「あて布」が必要となります。

また、スーツに素材には適切な温度があるため、アイロンをかける前に洗濯タグで設定する温度を確認しておきましょう。きちんとメンテナンスされたスーツは、使わなくなったときに適切な金額で引き取ってもらえるため、定期的なクリーニングとあわせて、自宅でのアイロンがけもおすすめです。

クール・ヴェールではスーツの買い取りをおこなっています。店舗での買い取りや出張買い取りだけでなく宅配での査定も可能です。
スーツの高額買取りならクールヴェールへご相談ください。

この記事の監修者

監修者の写真

鈴木義彦

株式会社クール・ヴェール 代表

<学歴>

高卒!!(今でも大学への憧れあり。社会人枠を狙っている。)

<職歴>

1998年|SPA大手アパレル 新卒入社
暴力体制の無理やり販売するスタイルに共感できず2年で退社。

2000年|株式会社シップス アルバイト入社
メンズドレスを半年学ぶ。時給800円のカップラーメン生活に耐えられず退社。

2001年|アパレルコンサルティング会社 中途入社
社長の女癖の悪さを見かねて退社。給料の振込手数料を社員持ちにするセコさにも見かねて・・・。

2005年|アパレル会社の上司と株式会社〇〇の創業に携わる
共同出資にも関わらず、上司のお金の使い方がブラックボックス過ぎて信用できず退社。

2006年|株式会社クールヴェール創業
好きな洋服をバイ&セルする喜びを知り今に至る。自分の得意分野のメンズドレスの専門サイトを立ち上げ、一人ひとりのお客様に接する喜びを楽しみながら自らも店頭に立つ。

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